バーデン [Netflix]
70年代初頭から活動しているアメリカ、ボストン生まれの現代アーティストの生涯を記録したドキュメンタリーです。
このクリス・バーデン という人、現代アートやパフォーミングアートに詳しい人の間では有名人なのだそうで、私もその過激な活動について軽く聞き齧ったことがありました。
特に有名なのが活動初期に当たる5年ほどの間に行なった、「自身の体を相当に酷使するパフォーマンス」(どういうものかは映画を観ていただくか、ググってもらえるとすぐに出てくると思います)で映像で観ると生々しい、(シャレにならないjackassみたいな...)というか普通にヒドいです。
初期ハードコアパンクに通じるような衝動だけで振りきってしまうような表現ですね。
興味深かったのは、彼の生い立ちなどを紹介するくだり(スイスやヨーロッパを転々として育ち、父親がMITの教員をしていたり最高水準の教育を受けている)や、パフォーマンス活動を引退し、美術学校の教員を経て、とんでもないど田舎にある自分の工房で現代彫刻を制作しているところです。
バーデンさんは一貫して作品について意味を語るということを一切しなくて、観ていると、彼は何でこういうことをやってるのかってことがよくわからなくなってくる。でも表現することについてはすごくイノセントな感じというか、やんちゃな子供がそのままおじいちゃんになって秘密基地でデカいおもちゃを作ってるというか。。
でも彼は説明は全くしないけど、鑑賞者に強く訴えかけるようなインパクトを提示するスタンスは彼の中で初期のパフォーマンスの頃からずっと一貫しているんだな、と思います。
晩年になってからはパブリックアートや公立の美術館などで彫刻を発表する機会が増えたようで、個人的にその中のいくつかの作品がすごくいいなと思いました。
この「Urban Light」はLos Angeles County Museum of Artの前に設置されている作品ですが、いまではカップルの間で記念撮影する様なスポットになっているそう。
ロスに行く機会があればの中を歩いてみたいです。
現代アメリカを鋭く切り取った、いいドキュメンタリーだと思いました。