A Room with a View

AmazonPrime、Netfrixで観た映画について書いています

ゴーイング・クリア: サイエントロジーと信仰という監禁 [Netflix]

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サイエントロジーという団体についてぼんやりした知識しかなかったので、なかなかインパクトのある内容でした。

もともとパルプ・マガジンでSFや冒険小説を書いていた創始者L・ロン・ハバートは1950年に発表した「ダイアネティックス」という著作の中で展開していた世界観を元にサイエントロジーの教義を作り上げたのだそう。

数千万円のお布施と修行を積んだ「上級信者」にしか明かされない(!)というジヌー(Xenu)にまつわるトンデモ神話もこの頃にできたようですね。

(ハバートのSF作品についてはアイザック・アシモフをはじめとする論者から科学的な妥当性の面で批判されているようですが、懇意にしていた編集者の力で発表し続けられていたようです。※1

 

このドキュメンタリーの中でも、ハバート自身が、サイエントロジーによる宗教活動を「ビジネス」と明言しているのですが、後継者である今の教祖はさらに露骨です。。

 

観ていて印象的だったのは、元信者として証言している人が(ちょっと変わった人ではあれ)基本的に善良そうに見える人ばかりだったこと。

入った当初はジヌーの教義とか教団の全貌は明かされない→いきなり告白を強いられる→抜けようとすると告白によって得た個人情報で脅迫されたり、別の信者を使って嫌がらせをされる、という悪夢のようなループによって、抜けられなくなってると。

最初にジヌー云々の話を聞かされてたらバカバカしくて入らなかったという元信者もいましたが、そりゃそうでしょうね(笑)

 

トム・クルーズが信者に向かって講演している映像を見てると、彼の教団における貢献度の高さと、教団側からも広告塔として最重要視されていることが伺えます。

そういえば彼はポール・トーマス・アンダーソン監督の「マグノリア」で宗教伝道師の役を演じていましたが、それ分かっててやってたのかな…とか気になります。

もちろん役者としてのトム・クルーズは大ファンなのでそれはそれで見続けますけどね。

 

今のアメリカを理解する上で一つの視点を与えてくれるドキュメンタリーだと思います。