インセプション [Netflix]
公開時に観て以来、二度目の視聴。
記憶モノSFって好きなんですよね。例えばP.K.ディックの作品(例えばブレードランナー、トータルリコール)に出てくる様な経験していない記憶をあらかじめ植えつけられた主人公が現実との間で葛藤するみたいな。そういうのは映画ファンには馴染みの深い、古典的なテーマだと思います。
でもこの映画が興味深いのはその記憶そのものを上書きするのではなくて、特定の人物が想定通りの意思決定を促す様なアイデアを「夢の中で植え付ける」ところなんですよね。
夢を扱うスペシャリスト達(トム・ハーディ、ジョセフ・ゴードン=レヴィット、キリアン・マーフィーらノーラン組のキャストが出ているのも嬉しい。)が深層心理の中に飛び込んでいって、夢か現実かを撹乱しながら、さらに夢の中で夢を見て...という具合にどんどん下の階層にダイブしていく。
物語が進むに連れ、主人公のコブの過去のトラウマがこのミッションにおいて大きな壁になってくるところなんかは作劇としてすごく良くできてるなと思いました。
改めて見直してみるとコブのかかえた葛藤はタルコフスキーの「惑星ソラリス」とよく似た設定なんですね ^^